対談企画第一回「代表が語るPrism」(後編)

プライド月間、いかがお過ごしでしょうか。私はこのブログを書いたり、リモートでのアルバイトに励みながら、ついこの間届いた1㎏の干し芋を黙々と消化しています。

今回は、対談企画第一回「代表が語るPrism」の後編をお届けします。後編は、お二人のPrismにまつわる思い出や、Prismに入ろうと考えている方へのメッセージなどをお聞きしました。代表という立ち位置だからこそわかるセクマイサークルの現実や難しさなど、少し深いところまでお聞きすることができました。




お互いに聞いてみたいことなどはありますか。

与謝野:じゃあ私からいい?


お茶漬け:いいよ。改まって聞くの新鮮だな。


与謝野:今まで約5年間Prismの活動をやってて、一番印象に残ってる出来事ってある?


お茶漬け:一番かあ。どれも思い出深くて一つ選ぶのがもったいないんだよね。


与謝野:一番とは言わなくても、パッと思い浮かぶものとかでもいいよ。


お茶漬け:今思い浮かんだのは、サークル一周年の日のことかな。


与謝野:私がまだいなかったときの話だ! そういうのなかなか聞けないから嬉しい。


お茶漬け:Prism設立一周年の日に、とあるラジオに出ることになって。一緒に出たのは4人で、もうみんな卒業しちゃったけど、多分そのラジオがPrismとして対外的に発信する初めての経験だった。


与謝野:セクマイサークルは性質上、なかなか顔とか名前を出しての活動が難しいよね。1年でそれができるようになったの本当にすごい。


お茶漬け:そこなんだよね。Prismは元々、LGBTsについてサークル外に発信していこう!じゃなくて、みんなの居場所を作ろうってところから始まってるから、たった1年で4人も顔を出して活動できたのってすごいと思った。あと、そうやって対外的なことをする勇気が自分に出たのも感慨深かったな。


与謝野:サークル発起人のお茶さん自身も最初の1年間で心境とかが変化していったんだね……。


お茶漬け:あともう一つ嬉しかったのは、一周年ってことでその日、メンバーがサプライズで収録中にケーキを買ってきてくれて。


与謝野:当時私はいなかったけど、「Prism1周年おめでとう!」ってプレートの載ったケーキの写真とか、お茶さんが超嬉しそうにピースしてる写真を既卒の先輩に見せてもらったことあるよ(笑)

(↑一周年のケーキ。今でもPrismのドライブフォルダに写真が残っています。)

お茶漬け:あの日、さっき言った対外的な活動ができた嬉しさはもちろんあったんだけど、それに加えてPrismの存在を喜んでくれる人がいたってのはすごく嬉しかったなあって思う。サプライズとかされたことなかったから、特に思い出に残ってる。


与謝野:自分の作ったサークルに人が集まるだけでも嬉しいだろうけど、バイタリティーの溢れるメンバーたちと一緒に今までやったことのない対外的な活動をしてみたっていうのは、とても貴重な経験だよね。


お茶漬け:じゃあ、次は私から質問するね。Prism入ってから難しいなとか、困難だなって思ったことってある? 代表としてでもメンバーとしてでもいいんだけど。


与謝野:そうだな……。一つ思い浮かんだのは、私が2年生の時の学祭かな。セクマイサークルを掲げてPrismとして参加してたんだけど、向かいの教室の団体が「へー、LGBTの人たちか」みたいな感じで、教室に入ってくることもなく覗いてきて。


お茶漬け:私たちが号泣しながら電話したやつだ。「悔しい!」って。


与謝野:新宿2丁目に出入りしたり、Allyの人たち含めてすごく大人な人が多いPrismの環境で過ごすうちに忘れてたんだけど、やっぱり現代社会において性的少数者として括られる人たちはまだまだマイノリティで、好奇の目にさらされてしまうことがあるって事を再認識する出来事だった。


お茶漬け:すごく悔しかったよね。私たちだって同じ大学にいる同じ学生のはずで、学祭を楽しむ権利も同等にあるはずなわけよ。だけど、マイノリティって属性があるだけでめちゃくちゃ気を張らなくちゃいけなくなる。


与謝野:それに加えて私たちは、代表って立場もあったから、サークルのメンバーが不快にならないようにどう対処するべきか瞬時に判断しないといけない。そのときは教室のガラスにビラをはって中が見えないようにしたり、一時的にお茶さんに外に立ってもらって、中を覗こうとしてた人を追い払ってもらったりしたね。あのときは直接的に辛い場所に立たせてしまって本当にごめん、そして本当にありがとう。

(↑2018年度の学祭の写真。展示のほかに、LGBTs基本講座やトークショーが行われました。)

お茶漬け:私がさっき話した一周年の思い出とはすごく対照的なんだけど、代表って役職は喜びも人一倍感じるけど、こういう辛いことを真っ先に感知して対策しなくちゃいけないから辛いこともあるよね。


与謝野:そういう矢面に立つ機会に遭遇することで、私たちがセクシュアルマイノリティとして社会に打って出ることのリスクを思い知らされた。せっかくの数少ないPrismが外に向けて活動する場だったんだけどね。


お茶漬け:入ってきて暴言ぶつけられるとかは嫌だけど、珍しいもの見たさに外から私たちを覗き見しようとしていた彼らも、勇気を持って中に入ってきて「こういうのあるんだ」って普通に見に来たり、話しに来たりしてくれればよかったのに。


Prismは現在リモート活動中ですが、オンラインでの活動をやってみて気づいたことなどはありますか。

お茶漬け:今まで参加できなかった層とかは来れるようになってるのかなって思う。オンラインだと、活動にアクセスできる層は多分、対面とはまた変わってくるのかなって。


与謝野:顔が見えないほうがいいって人もいるだろうし、こっちのが気楽な人もいるかもね。


お茶漬け:ただ、会話には入れてないとか、辛そうとか、今まで自分が気付けてたことを見落としちゃってるんじゃないかっていうのが不安。早く対面でもやりたいなって思ってます。


与謝野:私は声の問題があるよなって思ってて。トランスジェンダーは、MtFの場合は発声練習や外科手術、FtMの場合はホルモン治療をしていないと、声がどうしても身体性に寄っちゃう人は少なくはない。だから、顔の見えない活動では望まない性別で扱われないように結構気を使うんだよね。


お茶漬け:扱ってほしい性別が明確な人だときついこともあるのか。逆に、Xジェンダーだったりすると、顔を出さないことでそこを明確にしないで済むから楽なのかも。


与謝野:たしかにそれもあるよね。メリットデメリットは人それぞれでなかなか難しい問題かと。


お茶漬け:ボイスチェンジャー使って活動してみても面白いかもしれないね。誰が誰だかわからなくなりそうだけど(笑)


与謝野:いいんじゃない? 対面で活動できるようになっても、全員仮面着用の活動とかやってみたい(笑)


お茶漬け:楽しそう! 上杉謙信みたいな兜かぶって参加したい!


与謝野:あの顔まで覆ってるやつね(笑) 怖スギ謙信だからもっと可愛いのにして……。


お互いに何かメッセージはありますか。

お茶漬け:一緒に代表をやってくれって言ったこと、それ自体は後悔してないよ。与謝野じゃなきゃ務まらなかっただろうなって思うし。本当にありがとう。でもその半面、一昨年の学祭みたいな出来事で、苦労かけちゃって申し訳ないなって思ってる。


与謝野:謝罪されたんだけど~(笑) たしかにそういう苦労もあったけど、基本的には私はお茶さんたちと一緒に運営やるの楽しいから好きだよ。お気楽だったからかもしれないけどね(笑)


お茶漬け:私も与謝野じゃなきゃこれまでやってこれなかったなって思う! これからも仲良くしてもらえると嬉しい!


与謝野:じゃあ、今年も女装紅白(※)のチケットは2人分買っておきますね。


お茶漬け:本当大好きだわ。よろしくお願いします(笑) なんか締めみたいになっちゃったね。


最後に、Prismに入りたいと思っている人、迷っている人へのメッセージをお願いします。

お茶漬け:やりたい事とかが明確になかったとしても、いい友達ができることは保証します! 気になったら軽い気持ちでいいので遊びに来てください。


与謝野:Twitterとかブログでも、やっぱり雰囲気がわかりにくかったりすると思うから、一回来て決めてみるといいと思う。来てみて、自分に合うか吟味してから入るかどうかは決めればいいと思います。


お茶漬け:すごく我々らしいコメントだ。


与謝野:あ、あと入ってくれたら私の矢野顕子のモノマネが見れますよ!(笑) 待ってます!



※ 新宿2丁目で毎年大晦日に開催されるショータイム。お茶漬けと与謝野は出演するドラァグクインの方のファビュラスを身に浴びるため毎年参加している。少しでも早くコロナウイルスの感染拡大が収束し、今年も万全な状態で素敵なショーを観られることを、一女装紅白ファンとして切に願っています。




第一回の対談は以上です。いかがでしたでしょうか? 

最後に、お茶漬けさんよりPrismに入ろうとしている方へ手書きメッセージをいただきました!



そして、「プライド月間はまだ残ってるし、もう一回くらいやっちゃう?」と盛りあがったPrism編集部によって、第二弾の作成が進んでおります!インタビューもまだですが、6月中に公開することを目指し、頑張って作成していきますので、引用RTでもリプライでも、もちろんブログへのコメントでも、頂けると編集部一同とても励みになります。(前編でコメントくださった方、本当にありがとうございました。)

それでは、お楽しみに!!



インタビュー・文字起こし:大内、せん

執筆:せん

編集:Prism編集部

Special thanks:お茶漬け、与謝野

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